宅地建物取引士として分かりやすい解説を心掛けています。
「そろそろ家を買おうかな」と考える人もいらっしゃると思います。
マイホームは一生に一度とも言われる大きな買い物です。そのときに、
「少しでも値切れたら良いんだけどなぁ」
と思いませんか?
マイホーム購入を検討している方、まずこの記事を読んでみて下さい。
・マイホームを買う時に値切るコツはあるの?
・マイホームの値引きがしやすい時期ってあるの?
など、私にも多くのご相談を頂きます。
そこで今回はマイホームを買う際の
値切るコツや値引きのタイミングをご紹介いたします。
うまくいけば10%程度の値引きも実現可能です。
マイホーム購入をお考えの方に少しでもお役に立てれば嬉しいです。
さあ、一緒に見ていきましょう!
・マイホームを購入しようと考えている人
・マイホームの値切るコツやタイミングを知りたい人
*こでは主に注文住宅の値引きについて解説していますが、建売住宅やマンションの購入においても交渉の仕方や考え方は転用できます^^
目次
注文住宅の値引き交渉について

まずは注文住宅の値引き交渉について。
よく住宅系の雑誌などでは
「注文住宅の値引きは交渉は難しい」
と書かれていることも多いのですが、実は注文住宅も値引きができます。
私のお客さんで交渉によって値引きが成功した金額の相場として、
50万円〜100万円程度であれば十分に実現可能
であると実感しています。
もちろん、それ以上の金額交渉を成功している方もいらっしゃいます。
ハウスメーカーなら10%値引きもあり得る!しかし注意が必要

ハウスメーカーなら価格の10%程度の値引きも十分にありえます。
しかし強引な値引き交渉は控えた方が良さそうです。
というのも、注文住宅であればこれから家を建てるので、もし予算を値引き交渉で減らされてしまえば、その金額分の設備や材料のグレードを落したり、工期を短縮したり職人を減らすなどしてして調整されてしまいます。
せっかく念願の家を建てるのに、いきなりグレードが落とされるのは残念ですよね。
一度の交渉で大幅値引きを要求すると営業マンが引いてしまいます。
相手が嫌がらない程度に無理なくこちらの要望を伝え、
交渉を重ねながら希望額に近づけるように意識しましょう。
もし値引き交渉がうまくいって、50万円や100万円でも価格が下がれば毎月のローン返済額も下がってきます。
また浮いたお金で新しい家具や家電を買うことだってできます。
・一度で大幅な値引きを狙わない
・交渉を重ねていくことで営業マンとの信頼関係を築く
ことで値引き額を引き出すことがスマートな交渉です。

ハウスメーカー・工務店はどのくらい値引きに応じてくれる?

まずは、ハウスメーカーや工務店が値引きに応じる常識的な範囲を把握しましょう。
不動産業界内ではハウスメーカーや工務店の値引き率の相場として、
・工務店の割引率 → 見積額の3%程度
・ハウスメーカーの割引率 → 見積額の3%~8%程度
と、とらえています。
はじめから値引きの交渉の目安を把握しておくことで、注文する側も無理な要求をしなくて済みますので、お互い納得できる結果を得やすいでしょう。
ちなみに値引き率の相場は、大手ハウスメーカーと地域密着の工務店とでは差があります。
ハウスメーカーの値引き率(実は各社の方針がある)

大手ハウスメーカーの値引率は、だいたい各社規定で決まっています。
値引き率の相場はだいたい「見積額の3%~8%程度」
決算期やキャンペーンなど時期が良ければ「最大10%程度」
といったところです。
また、ブログや雑誌などに
「一声でハウスメーカーに500万円引いてもらった!」
などの体験談が載っていることがありますが、
それは最初から値引き交渉対策で見積額にあらかじめ金額を上乗せしているケースもあります。
営業マンが見積に金額を上乗せしておいて、タイミングを見て差し引いてお客さんを喜ばせるわけですね。私も営業なので気持ちはよく分かります。
ちなみに、注文住宅の雑誌や広告で見かける「一条工務店」は会社名に工務店とついていますが、値引きしないことで有名な大手のハウスメーカーです。

工務店の値引き率は意外と低め(もともと利益が少なめ)

工務店の値引き率は意外と低く、
工務店の値引き率 → 見積額の3%程度
が値引き率の相場といったところです。
工務店の場合は大手ハウスメーカーのように広告費にお金をかけていませんし、見積額に大きな利益をのせていないことがほとんど。
あまり見積額が高いと大手ハウスメーカーにお客さんが流れてしまいますしね。。。
そもそも工務店は地域に根差したビジネスをしていますので、悪い評判が広まってお客さんがいなくなってしまう事を心配しています。
ですので、工務店の見積の金額はかなり現実的なものが多くなります。
無理な値引き交渉をして工務店のやる気を削ぐよりも、見積額の端数をまけてもらったり、良くて見積額の3%程度でも値引きしてもらえたら十分だと思います。
マイホームの値引き交渉は「契約の直前」がベストなタイミング!

値引き交渉のベストなタイミングは「契約の直前」が鉄則です。
私も営業ですから痛感していますが、
・一刻も早く契約したい → 営業マンも長い時間を費やしているので絶対に決めたい
・上司に報告してしまった → 契約の見込を上司に報告してるため逃したくない
・部内や店舗内の目標がある → 毎月のノルマや目標があるため失注は避けたい
つねに営業マンはこのような心理状態になっています。
ここで1つ、注意があります。
あまりに早い時期に値引き交渉をしてしまうと材料や設備のグレードをあらかじめ下げた見積書がでてきます。
とくにトイレ・洗面台・風呂・キッチンなどの水回りのグレードは調整がしやすいところ。
希望したグレードの設備が使われているか注意が必要です。

現役営業マンが教えるマイホーム値引き交渉のコツ

値引き交渉で重要なポイントは「あいみつ」と「タイミング」の2つ。
これさえ守れば満足する成果を得られるでしょう。
では、一緒に見ていきましょう。
少なくとも3社の相見積をとる(あいみつ3社)

相見積(あいみつもり)とは複数の会社から見積をとること。
略して「あいみつ」と言います。
少なくとも3社の相見積をとりましょう。
相見積を取るまでの流れは次の通りです。
①情報を集める → 資料請求や展示場で話しを聞いて、気になるハウスメーカーや工務店を6~8社ほどあげる
②候補をしぼる → その中でも特に気になる会社を3~4社にしぼって見積をもらう
③優先順位をつける → 本命1社と2番手、3番手を決めておく
ポイントは③の本命以外の2番手、3番手の会社を当て馬として考えるのではなく、
「金額によっては、こちらの会社でも良いなぁ」
と思える会社を選び、しっかりと3社とも金額の交渉を続けてください。
そうすることで、3社の営業マンも必死に社内を調整をしてくれます。
また、他の会社も選択肢にあることを営業マンに伝えておきましょう。
2番手、3番手の会社名・見積金額・営業マンの対応方法など、
リアルな情報を伝えることで本命の営業マンの心を動かすわけです。
相手は毎日接客をしている営業マンです。
2番手、3番手の情報が少ないと「単なる当て馬だろうな」
と見抜いてきます。実際に私もお客様から感じます。
「どの会社にお願いしても良いんだけど」
くらい、どっしりと構えることが値引き交渉のコツです。

値引き交渉の重要なアイテムはライバル会社の見積書

値引き交渉が終盤になってくると、決め手となる重要なアイテムがあります。
それはライバル会社の見積書。
営業マンにとって常に競合しているライバル会社の提示した見積書は気になるもの。
応対している営業マンに、
「最後は値引きをしないとライバル会社に契約を取られてしまうかもしれない...」
と思わせるための重要なアイテムです。
これで営業マンの不安とプライドを揺さぶりましょう。
営業マンはライバル会社に負けないよう強く意識しています。
何か月も打合せを重ねた見込客が最後の最後になってライバル会社に契約された、
という事態は絶対に避けたいもの。
また逆に、ライバル会社の見積をもっている見込客を自社で契約できた
となれば、その営業マンの評価も上がるでしょう。
契約が目前になって、
しっかりと交渉を経たあとのライバル会社の見積書が出てくれば、
値引きの可能性はさらに高くなります。
ハウスメーカーや工務店のライバル会社とは

売上や着工棟数、お客さんからの満足度など人気ランキングを競っている相手です。
単純に売上や着工棟数だけを比べるとCMで見かける大手ハウスメーカーが並びますが、満足度をふくめた人気ランキングも考慮すると良いでしょう。
【2020年オリコン顧客満足度ハウスメーカー注文住宅ランキング】
1位 スウェーデンハウス
2位 へーベルハウス
3位 積水ハウス
4位 住友林業
5位 三井ホーム
6位 一条工務店
7位 セキスイハイム
8位 パナソニックホームズ
9位 大和ハウス
10位 ミサワホーム
引用元:https://life.oricon.co.jp/rank-house-maker/
名だたる大手を差し置いてオリコン1位をとったのはスウェーデンハウスです。
営業マンの対応や打合せのしやすさが高く評価されています。
販売価格帯が近い会社(工事の坪単価が近い)

販売する価格帯が近い会社は確実に競合しますよね。
そこで工事単価に注目してみましょう。
・坪単価が30万〜50万円
(アイダ設計、飯田産業、アイフルホーム、タマホーム)
・坪単価50万〜70万円
(トヨタホーム、一条工務店、三井ホーム)
・坪単価70万円以上
(住友林業、スウェーデンハウス、積水ハウス)
まだまだありますが、坪単価で比較すると競合する会社が見えてきます。
施工の工法・構造や売りにしているテーマが似ている会社

施工の工法や構造、売りにしている性能やテーマが同じジャンルの会社を選びましょう。
たとえば施工の工法や構造であれば、
・工法、構造 → 「木造」「2×4」「鉄構造」「鉄筋コンクリート(RC)」
などがあります。
性能やテーマなら
・性能やテーマ → 「省エネ」「耐震」「狭小」「平屋」「3階」「二世帯」「外観デザイン重視」
などで、同じジャンルで選びましょう。

最後に、もう一押しお願いをしてみる

値引き交渉が上手くいったら、最後にもう一押しのサービスをお願いできないか、聞いてみましょう。
値引き交渉をおえて契約が目前に迫っていると営業マンも気分が高まっています。
そんな時は小さなお願いが通りやすくなっている状態。
ダメもとでもう1つお願いしてみると、意外とすんなりと受けてくれたりします。
例えば、
・玄関ドアや室内ドアのグレードを1つ上げる
・造りつけの戸棚をつくってもらう
・カーテンをサービスで付けてもらう
これくらいなら額も大したことないですし、社内でも調整できる場合があります。
最後におまけのサービスをもらったら気持ちよく契約にのぞみましょう。
営業マンにとって一番うれしいのはあなたの満足そうな笑顔です。
マイホームの値引き方法は他にもまだある!

マイホームを値引きする方法は他にもこんな方法があります。
・決算キャンペーンをねらう
決算前になるとキャンペーンを行うことが多くないります。
この時期はとても金額交渉がしやすいタイミングです。
・モニターになる(モニターハウス)
モニターハウスとは家が建ってからその家に住むまでの一定期間(通常1~3か月位)モデルハウスとして公開するものです。
その代わりに値引きや
・新築ご紹介制度を利用する
そのハウスメーカーで建てた知人から紹介してもらうと、紹介者とあなた双方に特典があります。
なかには紹介により成約した場合、
・紹介者 → 紹介者に商品券10万円をプレゼント
・契約者 → 契約者にインテリア代10万円分を追加
といった双方に嬉しい特典をつけている会社もあります。
これらを上手に利用すれば、数十万から1割以上の値引きがあることもあります。
割引は1つ1つが少額でも積み重なると大きな額になっていることもあります。
もれなくチェックして使えるサービスはどんどん使っていきましょう。
マイホームを値引き交渉するコツをおさらい

マイホームの値引き交渉のコツを見てきました。
最後におさらいです。
・値引き率はハウスメーカーが3~8%、工務店3%ほど
・値引き交渉は「契約の直前」が鉄則
・相見積は3社からもらっておく
・相見積の会社ともしっかりと金額交渉をしておく
・一度の交渉で大幅値引きを要求しない
・営業マンとの信頼構築が値引きを引き出すコツ
皆さんのマイホーム探しのお役に立てれば幸いです^^